これも同じしくみ?・・・米空母が見守るイスラエル国防軍のガザ子ども虐殺

法政大学大原社会問題研究所主催の無料映画上映会で、『ハマのドン』という映画を観た。

横浜にカジノを作る計画を菅政権時代の国がゴリ押しし、市民がそれを跳ね返した話だ。

おもしろいことがいっぱいだが、とりわけ印象的なのは、カジノ設計者の話だ。

客が一度入ると、少々負けても、奥に食堂、横にATM、さらに給料や財産を担保に即刻お金を貸す融資の小部屋まであって、出口は見えず、かんたんには出られないような部屋に設計する。

ギャンブラーたちは、次々とその罠に誘い込まれ、一攫千金の夢を見るが、最後は身ぐるみ剥がれ、家族は路頭に迷う。

カジノ経営者の一人勝ちである。どのギャンブラーが勝っても、負けても、首くくっても、ショバ代と金貸しで、確実にもうかる。

横浜に作ろうとしたのは、アメリカのカジノ業者で、もうけた金でアメリカ大統領を動かし、日本の首相を丸め込んで、さらにワナを仕掛けようとした。

・・・・
パレスチナ、ガザ地区のハマースのイスラエルへの越境攻撃は、とてつもないギャンブルだ。イスラエルが圧倒的兵力で壊滅的反撃を返すことは明らかだった。

イスラエル、収賄で起訴された首相ネタニヤフが、米軍の空母が見守る中、米政府が金を出したイスラエル国防軍にガザ地区の子どもたちを虐殺させていることは、とんでもないギャンブルだ。

虐殺を見せつけられ続ける国際世論は、イスラエルを、さらにそれを支えるアメリカを、厳しく批判することになるからだ。

だが、このギャンブルで確実に儲けている人たちがいる。世界一のアメリカ武器産業、そこに投資して配当を得る投資運用会社に資金を預ける超富裕層だ。

全世界の超富裕層は、コロナ・パンデミックや、ウクライナ戦争、気候変動の大災害にもかかわらず、・・・いや、だからこその復興需要に投資して儲けを増やし、その数も、財産額も、ここ数年で右肩上がりで増え、さらに増えると予測されている。

これは、カジノ業者と同じしくみではないだろうか。

カジノ業者に雇われたアメリカ大統領が、ギャンブラーたちに金を注ぎ込み、戦わせている。

ギャンブラーたちどうなろうと、子どもたちがあの世に送られようと、超富裕層のもうけは、確実に増えていく。

この仕組みを変えねばならぬ。

もうけを求めるだけの超富裕層にかわって、国境を越えた市民たちが、物言う投資家となって、あこぎな商売をやめさせる。・・・投資運用会社や持株会者の仕組みを逆用して、国境を越えた市民が、一人一株の平等な株主として、その経営を支配する投資会社を作るのだ。それが、平和、人権、エコロジーの指針をもつ巨大な投資会社であり全世界の主要な大企業・多国籍企業の持株会社となって、商売の流れを変える。・・・同時に、超富裕層の手に入っていた配当収入は、分割して国境を越えた市民に配分される。つまり、国境を越えたベーシックインカム、すなわちグローバル・ベーシック・インカムということになる。

そんな投資会社、人類遺産基金Human Heritage Fundとでもいうべき会社をどうつくるか。その道筋を描いて、実際に動き始めること。

すばやく、着実に、進めたい。力を合わせていきましょう。

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イエは大きく、クニは小さく、カネは広く。

イエとは継ぐもので、まあ、家族のことだ。
いろんな生き物がいるが、ヒトはみな家族と思っていい。
じっさいに、アフリカのイブから出たいまの人類は同じDNAでつながっている。
人類の祖先たちが遺してくれたものはみんなで受け継いで、また次の世代に伝えたい。

クニはまとまるためのもの。いろんな災いから命をまもるためのまとまり。
おくにはどちら、と言われて答えたくなるところ、まあ、ふるさとと言っていい。
小国寡民、鼓腹撃壌、帝力なんぞ我にあらんや、などと言って、大きくせずに小さくしておくのが、うまくまとまるための昔からの知恵だ。隣近所、いつも顔を合わせるていどで十分だ。

カネは便利なものだが、人の心を狂わせる。
広くゆきわたらせて、天下の回りものにするのがいい。
カネが天下を回る世の中ならば、元手さえあればカネは入り、食うに困ることはない。
人類の祖先たちが遺してくれた元手を人類みんなで受け継ぐならば、人類みんなの手にカネが入り、だれも食うに困ることはない。

世界は一家、人類はみな兄弟姉妹。
国はただの近所の集まり。
カネは祖先が人類みんなに遺してくれた元手から出るみんなの回りもの。
何十億の人間たちが、人を楽しませ、自分が楽しくなることだけを探して生きる。
そんな世の中にしたい。

・・・2021年12月に書いたここまでの原稿を発見した。アップするのを忘れていたらしい。それにしても、コロナ騒ぎで、こっちの世話を忘れていた日々でした!

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アフガニスタン援助はベーシックインカムで!

8月のカーブル(日本ではカブールというけど現地発音ではこう)陥落は大ショック。・・・アメリカ史最長の戦争終結、ベトナム以来のアメリカの敗北、などニュースのことばが胸に刺さる。

私も編集に加わった日本の国際協力についての本について、8月末締め切りで原稿を頼まれ、アフガニスタン援助のことを書いた。9月初めにはアフガニスタン問題シンポジウムで話すように頼まれ、かなり勉強した。

その結論は、こう。・・・アフガニスタン援助はベーシックインカムで!

日本政府、アメリカ、NATO諸国など、人道援助は続けると言ってる。医薬品、緊急食糧などは必要だが、緊急援助には、ベーシックインカムも加えるべきだ。

コロナ対策として、昨年夏にUNDP(国連開発計画)が提案した、期限付きベーシックインカム(一人一日3ドル程度の無条件現金給付)である。

アメリカを追い出して権力を握ったターリバーンのトップと約束して、ちゃんと国民に届けてもらう。まともなイスラーム教徒であることを証明し、国民の信頼を得るチャンスなのでターリバーンにとっても悪くない話だ。

アフガニスタン国民の35%は政府機関に登録されていないし、成人の85%は口座を持たない(世界銀行のデータ)。国際社会はまずそこから援助する必要があるが、それはSDGsが掲げる「誰も取り残さない」社会保障には不可欠のインフラだ。

シンポジウムでその話をすれば、カーブルで日本政府援助の現地担当だった人は、「そういえば、援助で何が欲しいか、と聞くと、向こうの人は、お金だ、って答えてたね。いいかも。」と。

今、いちばん危惧されている女性の権利問題も、これで、社会の底辺から変わってくるはず。

あちこちで発言したり、メールしたりしているけど、なかなか動きにならない。・・・

力を合わせてくれるひと、ぜひ、ご連絡ください。

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ライフワークの第一弾が出ました!

良くも悪くもマイペースにんげんで、・・・やっと出た本のお知らせをしないまま、いつの間にか9月になっちゃいました。

国際開発学会の会員向けのお知らせをコピーしておきます。

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国際開発学会会員のみなさま
 このほど、以下の目次のような本を出版しました。 20世紀末以来の「批判開発学」の代表的理論(デイビッド・コーテン、ジェフリー・サックス、ヴォルフガンク・ザックス、スーザン・ジョージ、アントニオア・ネグリ、グローバル資本主義学派)とSDGsの開発論とを併せて、ユルゲン・ハーバーマスの社会理論を手掛かりに批判的に検討し、SDGs以前の主流派開発学を歴史資料館に埋葬する、・・・という野心的な企ての第一歩です。
 それはまた、40年間の七転八倒悪あがきの末にようやく出てきた私のライフワークの第一弾でもあります。 会員諸氏のこれまでのお仕事にはほとんど筆が及ばなかったのですが、今後はできる限り向き合っていくつもりでいます。あらかじめご検討いただければ幸いです。
岡野内 正(法政大学社会学部)

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グローバル・ベーシック・インカム構想の射程――批判開発学/SDGsとの対話』

岡野内正 著 法律文化社、2021年6月刊 viii+250ページ、定価3300円+税

はじめに

第1章 批判開発学とグローバル・ベーシック・インカム構想

1.批判開発学とは何か?――人が造り地球と人を壊す仕組みの中の私を問うこと

<人が造り、地球と人を壊す仕組み><仕組みの中の私><私を問うこと>

2.グローバル・ベーシック・インカム構想とは何か?――ベーシック・インカム要求を活かすためのグローバルな階級支配システム転換の見通し

<ベーシック・インカムと正義の理念><グローバルなベーシック・インカムの理念><グローバルなベーシック・インカムのある人類社会のビジョン><ローカル、ナショナル、リージョナルな多層的ベーシック・インカム>

3.本書の構成

<本書のねらい><本書の構成><川で溺れる赤ん坊の比喩>

第2章 内発的発展・連帯経済戦略始動のために会社法人の禁止・解体を!

――デイヴィッド・コーテンの経営学

1.問題提起――SDGsを先取りする主流派開発戦略への徹底批判と全面的対案

2.内発的発展の定式化

  <1990年段階の主流派批判と対案の構図><内発的発展戦略の定式化><内発的発展のための変革の課題>

3.連帯経済の市場理論

  <1995年の転換――グローバルな会社システムの発見><1999年の転換――生活世界に根ざす「心ある市場」の発見><「心ある市場(mindful market)」論>

4.対案実現への模索――ベーシック・インカム

第3章 地球と人間を守る大規模開発援助を主導するアメリカを!

――ジェフリー・サックスの経済学

   問題提起――援助の「ビッグ・プッシュ」提案とその挫折

2 政治改革の提起

3 階級支配の告発

4 公共圏活性化への模索

第4章 脱開発の世界秩序再編を主導するEUを!

――ヴォルフガンク・ザックスの社会学

  1 問題提起――脱開発の世界秩序への模索

  <地球生態系への脱開発アプローチ><自動車への愛を超える欲望>

2 ヨーロッパへの期待

 <アメリカに対抗し、フェアな未来をリードするヨーロッパ?><EUを蝕む力>

3 ベーシック・インカムへの注目

 <賃金労働は公正か?><負の所得税に支えられた第二労働市場創出提案><ベーシック・インカムの階級的基礎>

4 グローバル・ベーシック・インカムの断念

<グローバルな公正とベーシック・インカム><賃金労働に内在する不公正>

第5章 グローバル企業権力を制御できる国家を!

――スーザン・ジョージの政治学

  1 問題提起――啓蒙から階級戦へ

  <ベトナム反戦運動から反飢餓・反債務運動を経て反グローバル化運動へ><グローバル企業権力の担い手、ダボス階級><深刻な反省>

2 ダボス階級の手口

<征服、戦争、飢饉、疫病を活用する><グローバルなアパルトヘイト政策><啓蒙主義の弱点とプロパガンダの強さ><EUにおける上からのクーデターと「社会民主主義」の無力><倫理問題の重要性>

3 ウォール街占拠運動の総括

4 人権、民主主義、福祉国家、格差是正を求めて

第6章 グローバル企業権力に翻弄される人々よ団結せよ!

――アントニオ・ネグリの政治哲学

  1 問題提起――直接民主主義と自由な共同体のためのベーシック・インカム

<細分化した学問分野を統合する政治哲学><『帝国』におけるベーシック・インカム>

2 社会運動的労働運動の鍵としてのベーシック・インカム

<『マルチチュード』におけるベーシック・インカム><『社会主義よ、さようなら(Goodbye Mr. Socialism)』><「目覚めよ、コミュニズム」>

3 改良主義的要求としてのベーシック・インカム――『コモンウェルス』におけるベーシック・インカム論の修正

4 革命に向けた交通整理

<ネグリらのベーシック・インカム論の意義><ネグリらのベーシック・インカム論の難点>

第7章 国民国家群を操るグローバル企業権力の姿を暴け!

――グローバル資本主義学派の国際政治経済学

1 問題提起――人類社会を分断する国民国家の罠を見抜く

  <これまでの議論の中間総括><グローバル資本主義学派>

2 巨大多国籍企業、国際政策団体、主要国政府におけるトップ・エリート集団の一体化

 <兼任重役と政策団体の人的ネットワーク><ウィリアム・キャロルの実証分析の成果>

3 トランスナショナル資本家階級形成論

 <レスリー・スクレアのトランスナショナル資本家階級論><キャロルによるトランスナショナル資本家階級分析の集大成>

4 トランスナショナル国家形成論

 <ジェリー・ハリスによる国民国家を越える経済的階級支配システム論><ウィリアム・ロビンソンによるトランスナショナル国家形成論>

5 結論――支配階級の再編成を一歩進めてシステム転換へ

第8章 地球と地球人を守る非暴力のたたかいを!

――『アジェンダ2030』における国連SDGsの開発思想

1 はじめに

2 『アジェンダ2030』における地球防衛闘争の論理

 <5つのPの調和を核とするエコ・ヒューマニズム><5つのPの相互関係><誰一人取り残さない>

3 SDGsが掲げるビジョンと現状認識

<SDGsの目指す世界像―国民国家の枠を超えるが歴史的不正義と多国籍企業への沈黙><人類社会についての現状認識><希望はどこにあるか?>

4 『アジェンダ2030』の開発思想の意義と限界

第9章 人類社会の未来図とグローバル・ベーシック・インカム構想

1 はじめに

2 犠牲者数から見た地球防衛戦争としてのSDGs

  <地球防衛戦争の犠牲者推計><地球防衛戦争における死亡者数の推計><地球防衛戦争における被害者数の推計>

3 地球防衛戦争下のコロナ・パンデミック

 A  国連にとってのコロナ・パンデミック

<人類の危機に際しての責任と連帯の呼びかけ><コロナ・パンデミックとの闘いからSDGs達成の闘いへ><コロナ・パンデミックの副産物としての環境浄化の皮肉><SDGs達成のための投資行動の転換>

 B  コロナ・パンデミック対策から地球防衛への機運

<コロナ・パンデミック対策からのベーシック・インカム政策の形成><UNDPと世界銀行のベーシック・インカムへの転回>

4 SDGsをめぐる対立の構図――地球防衛か、宇宙開発か?

 A SDGs市場を目指す多国籍企業――SDGsコンサルタント狂詩曲

 B 宇宙開発というオプション

<宇宙企業集団の形成?><宇宙ビジネス展開の論理>

 C 国連のエコ・ヒューマニズムと地球防衛戦争の課題

<地球防衛戦争の敵=侵略者の姿><SDGsはエコ・ヒューマニストのトロイの木馬になれるか?>

文献目録

初出一覧

あとがき

索引

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国連がグローバルなベーシックインカムを提案?!

国連がベーシックインカムを提案した、というニュース。

実は、少し前に、インドの人から、メールで連絡があったのですが、その提案報告書を読みました。(ネットで無料で入手できます)

国際連合が設置した国際機関である国連開発計画(UNDP)が、こういうのもありだから、国連加盟国政府や一般市民も、考えてみて! という提案。UNDPや国連の決定ではないので、ご注意を。

とはいえ、ここまで具体的にデータを出して、やってみようよ、と国連機関が言い出したのは、初めてのことで、画期的です。グローバル・ベーシック・インカムの始まりの始まり、といってもいいかも。

おもしろいのは、新型コロナウィルス感染症の世界的な広がりを防ぐために、お金がなくておうちでじっとしていられない人たちに、じっと引きこもってもらうために、お金をだそうよ、と言ってること。

引きこもりの怠け者が増えるから、ベーシックインカムは、ダメ、という人が多いのだけど、国連の提案はそれとは真逆。引きこもってもらうためには、お金を出さなくっちゃ、と。

さらにおもしろいのは、そのために必要なお金を詳しく計算するにあたって、あくまでも、グローバルな視野、地球の人類全体の経済活動の中で、それってどのくらい? という目を持ち続けていること。

財源ないからベーシックインカムはダメ、無理、という人が多いのだけど、さすが国連、地球全体をどうするかを考える。その目で見て、コロナ対策で先進国が自国民のステイホームのために使った給付金や補償金のものすごい金額と比べている。

たしかにそのほんの数パーセントのお金で、貧しい国の貧しい人たちへの引きこもり奨励金は実現できる。しかも、先進国政府や金融機関がそういう国々に貸し付けてきたお金の当面の返済分の範囲内だ。

コロナが地球全体で長期化すれば、世界経済の損失は計り知れない。抑え込むためには、貧しい国の貧しい人たちが仕事を求めてウロウロしないようにしなきゃダメ。先進国政府や金融機関は、目先の借金取りをやめて、いまは、そっちにお金をまわさなきゃ、と。

地球全体でどんどん広がるコロナ汚染。マスクも食べ物もなく日々の稼ぎのために動き回る130か国30億人の貧しい人たち。人類と地球を守るために、今、一刻も早く!・・・そんな叫びが聞こえるような。

最後に、おもしろいこと。実は、この提案は、ベーシックインカムじゃないよ、だから、政治家のみなさん、お金持ちのみなさん、安心して、やってみようよ、とはっきり言っているところ。

第一に、コロナを抑えるための、せいぜい数か月から1年だけの、期間限定のものだから、新しく税金をとったり、制度を作ったり、そんなことをせずに、すぐにやめられるよ、と。ほんとのベーシックインカムは、権利になって、永続するから、たいへんでしょ、と。

第二に、全員向けじゃなくて、貧乏な人だけがもらえるお金になってること。ほんとうのベーシックインカムは、全員向けだから、貧しい130か国だけでみても、財源はほぼ2倍の額が必要になるから、たいへんでしょ、と。まあ、こうやって所得制限をかけると、お金持ちの申請者をはじくコストがかかるってことはあるけど、とも。

とはいっても、現物支給はもっとコストがかかるので、現金がいい。世帯主向けにすると、ネコババされるので、あくまで個人向けがいい。そのへんは、ほんとのベーシックインカムと同じだよ、とも。

支給される金額についても、3つのオプションを考えてあって、それぞれの必要財源も各国ごとに細かく計算されている。配り方についても、細かな議論がたくさん。

これまでの、いろんな支給実験の結果や、ベーシックインカムの理念の議論をみたうえで、さらに、コロナのパンデミックの拡散をみながら、政治家がその気になれば、いや、その気になった政治家を人々が選んで、応援していく気になれば、すぐに始められるベーシックインカムの赤ちゃん。・・・地球と人類のこれからをまじめに考えるすべての人に向けられた、そういう提案だと言っていい。

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