国連がベーシックインカムを提案した、というニュース。
実は、少し前に、インドの人から、メールで連絡があったのですが、その提案報告書を読みました。(ネットで無料で入手できます)
国際連合が設置した国際機関である国連開発計画(UNDP)が、こういうのもありだから、国連加盟国政府や一般市民も、考えてみて! という提案。UNDPや国連の決定ではないので、ご注意を。
とはいえ、ここまで具体的にデータを出して、やってみようよ、と国連機関が言い出したのは、初めてのことで、画期的です。グローバル・ベーシック・インカムの始まりの始まり、といってもいいかも。
おもしろいのは、新型コロナウィルス感染症の世界的な広がりを防ぐために、お金がなくておうちでじっとしていられない人たちに、じっと引きこもってもらうために、お金をだそうよ、と言ってること。
引きこもりの怠け者が増えるから、ベーシックインカムは、ダメ、という人が多いのだけど、国連の提案はそれとは真逆。引きこもってもらうためには、お金を出さなくっちゃ、と。
さらにおもしろいのは、そのために必要なお金を詳しく計算するにあたって、あくまでも、グローバルな視野、地球の人類全体の経済活動の中で、それってどのくらい? という目を持ち続けていること。
財源ないからベーシックインカムはダメ、無理、という人が多いのだけど、さすが国連、地球全体をどうするかを考える。その目で見て、コロナ対策で先進国が自国民のステイホームのために使った給付金や補償金のものすごい金額と比べている。
たしかにそのほんの数パーセントのお金で、貧しい国の貧しい人たちへの引きこもり奨励金は実現できる。しかも、先進国政府や金融機関がそういう国々に貸し付けてきたお金の当面の返済分の範囲内だ。
コロナが地球全体で長期化すれば、世界経済の損失は計り知れない。抑え込むためには、貧しい国の貧しい人たちが仕事を求めてウロウロしないようにしなきゃダメ。先進国政府や金融機関は、目先の借金取りをやめて、いまは、そっちにお金をまわさなきゃ、と。
地球全体でどんどん広がるコロナ汚染。マスクも食べ物もなく日々の稼ぎのために動き回る130か国30億人の貧しい人たち。人類と地球を守るために、今、一刻も早く!・・・そんな叫びが聞こえるような。
最後に、おもしろいこと。実は、この提案は、ベーシックインカムじゃないよ、だから、政治家のみなさん、お金持ちのみなさん、安心して、やってみようよ、とはっきり言っているところ。
第一に、コロナを抑えるための、せいぜい数か月から1年だけの、期間限定のものだから、新しく税金をとったり、制度を作ったり、そんなことをせずに、すぐにやめられるよ、と。ほんとのベーシックインカムは、権利になって、永続するから、たいへんでしょ、と。
第二に、全員向けじゃなくて、貧乏な人だけがもらえるお金になってること。ほんとうのベーシックインカムは、全員向けだから、貧しい130か国だけでみても、財源はほぼ2倍の額が必要になるから、たいへんでしょ、と。まあ、こうやって所得制限をかけると、お金持ちの申請者をはじくコストがかかるってことはあるけど、とも。
とはいっても、現物支給はもっとコストがかかるので、現金がいい。世帯主向けにすると、ネコババされるので、あくまで個人向けがいい。そのへんは、ほんとのベーシックインカムと同じだよ、とも。
支給される金額についても、3つのオプションを考えてあって、それぞれの必要財源も各国ごとに細かく計算されている。配り方についても、細かな議論がたくさん。
これまでの、いろんな支給実験の結果や、ベーシックインカムの理念の議論をみたうえで、さらに、コロナのパンデミックの拡散をみながら、政治家がその気になれば、いや、その気になった政治家を人々が選んで、応援していく気になれば、すぐに始められるベーシックインカムの赤ちゃん。・・・地球と人類のこれからをまじめに考えるすべての人に向けられた、そういう提案だと言っていい。