ライフワークの第一弾が出ました!

良くも悪くもマイペースにんげんで、・・・やっと出た本のお知らせをしないまま、いつの間にか9月になっちゃいました。

国際開発学会の会員向けのお知らせをコピーしておきます。

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国際開発学会会員のみなさま
 このほど、以下の目次のような本を出版しました。 20世紀末以来の「批判開発学」の代表的理論(デイビッド・コーテン、ジェフリー・サックス、ヴォルフガンク・ザックス、スーザン・ジョージ、アントニオア・ネグリ、グローバル資本主義学派)とSDGsの開発論とを併せて、ユルゲン・ハーバーマスの社会理論を手掛かりに批判的に検討し、SDGs以前の主流派開発学を歴史資料館に埋葬する、・・・という野心的な企ての第一歩です。
 それはまた、40年間の七転八倒悪あがきの末にようやく出てきた私のライフワークの第一弾でもあります。 会員諸氏のこれまでのお仕事にはほとんど筆が及ばなかったのですが、今後はできる限り向き合っていくつもりでいます。あらかじめご検討いただければ幸いです。
岡野内 正(法政大学社会学部)

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グローバル・ベーシック・インカム構想の射程――批判開発学/SDGsとの対話』

岡野内正 著 法律文化社、2021年6月刊 viii+250ページ、定価3300円+税

はじめに

第1章 批判開発学とグローバル・ベーシック・インカム構想

1.批判開発学とは何か?――人が造り地球と人を壊す仕組みの中の私を問うこと

<人が造り、地球と人を壊す仕組み><仕組みの中の私><私を問うこと>

2.グローバル・ベーシック・インカム構想とは何か?――ベーシック・インカム要求を活かすためのグローバルな階級支配システム転換の見通し

<ベーシック・インカムと正義の理念><グローバルなベーシック・インカムの理念><グローバルなベーシック・インカムのある人類社会のビジョン><ローカル、ナショナル、リージョナルな多層的ベーシック・インカム>

3.本書の構成

<本書のねらい><本書の構成><川で溺れる赤ん坊の比喩>

第2章 内発的発展・連帯経済戦略始動のために会社法人の禁止・解体を!

――デイヴィッド・コーテンの経営学

1.問題提起――SDGsを先取りする主流派開発戦略への徹底批判と全面的対案

2.内発的発展の定式化

  <1990年段階の主流派批判と対案の構図><内発的発展戦略の定式化><内発的発展のための変革の課題>

3.連帯経済の市場理論

  <1995年の転換――グローバルな会社システムの発見><1999年の転換――生活世界に根ざす「心ある市場」の発見><「心ある市場(mindful market)」論>

4.対案実現への模索――ベーシック・インカム

第3章 地球と人間を守る大規模開発援助を主導するアメリカを!

――ジェフリー・サックスの経済学

   問題提起――援助の「ビッグ・プッシュ」提案とその挫折

2 政治改革の提起

3 階級支配の告発

4 公共圏活性化への模索

第4章 脱開発の世界秩序再編を主導するEUを!

――ヴォルフガンク・ザックスの社会学

  1 問題提起――脱開発の世界秩序への模索

  <地球生態系への脱開発アプローチ><自動車への愛を超える欲望>

2 ヨーロッパへの期待

 <アメリカに対抗し、フェアな未来をリードするヨーロッパ?><EUを蝕む力>

3 ベーシック・インカムへの注目

 <賃金労働は公正か?><負の所得税に支えられた第二労働市場創出提案><ベーシック・インカムの階級的基礎>

4 グローバル・ベーシック・インカムの断念

<グローバルな公正とベーシック・インカム><賃金労働に内在する不公正>

第5章 グローバル企業権力を制御できる国家を!

――スーザン・ジョージの政治学

  1 問題提起――啓蒙から階級戦へ

  <ベトナム反戦運動から反飢餓・反債務運動を経て反グローバル化運動へ><グローバル企業権力の担い手、ダボス階級><深刻な反省>

2 ダボス階級の手口

<征服、戦争、飢饉、疫病を活用する><グローバルなアパルトヘイト政策><啓蒙主義の弱点とプロパガンダの強さ><EUにおける上からのクーデターと「社会民主主義」の無力><倫理問題の重要性>

3 ウォール街占拠運動の総括

4 人権、民主主義、福祉国家、格差是正を求めて

第6章 グローバル企業権力に翻弄される人々よ団結せよ!

――アントニオ・ネグリの政治哲学

  1 問題提起――直接民主主義と自由な共同体のためのベーシック・インカム

<細分化した学問分野を統合する政治哲学><『帝国』におけるベーシック・インカム>

2 社会運動的労働運動の鍵としてのベーシック・インカム

<『マルチチュード』におけるベーシック・インカム><『社会主義よ、さようなら(Goodbye Mr. Socialism)』><「目覚めよ、コミュニズム」>

3 改良主義的要求としてのベーシック・インカム――『コモンウェルス』におけるベーシック・インカム論の修正

4 革命に向けた交通整理

<ネグリらのベーシック・インカム論の意義><ネグリらのベーシック・インカム論の難点>

第7章 国民国家群を操るグローバル企業権力の姿を暴け!

――グローバル資本主義学派の国際政治経済学

1 問題提起――人類社会を分断する国民国家の罠を見抜く

  <これまでの議論の中間総括><グローバル資本主義学派>

2 巨大多国籍企業、国際政策団体、主要国政府におけるトップ・エリート集団の一体化

 <兼任重役と政策団体の人的ネットワーク><ウィリアム・キャロルの実証分析の成果>

3 トランスナショナル資本家階級形成論

 <レスリー・スクレアのトランスナショナル資本家階級論><キャロルによるトランスナショナル資本家階級分析の集大成>

4 トランスナショナル国家形成論

 <ジェリー・ハリスによる国民国家を越える経済的階級支配システム論><ウィリアム・ロビンソンによるトランスナショナル国家形成論>

5 結論――支配階級の再編成を一歩進めてシステム転換へ

第8章 地球と地球人を守る非暴力のたたかいを!

――『アジェンダ2030』における国連SDGsの開発思想

1 はじめに

2 『アジェンダ2030』における地球防衛闘争の論理

 <5つのPの調和を核とするエコ・ヒューマニズム><5つのPの相互関係><誰一人取り残さない>

3 SDGsが掲げるビジョンと現状認識

<SDGsの目指す世界像―国民国家の枠を超えるが歴史的不正義と多国籍企業への沈黙><人類社会についての現状認識><希望はどこにあるか?>

4 『アジェンダ2030』の開発思想の意義と限界

第9章 人類社会の未来図とグローバル・ベーシック・インカム構想

1 はじめに

2 犠牲者数から見た地球防衛戦争としてのSDGs

  <地球防衛戦争の犠牲者推計><地球防衛戦争における死亡者数の推計><地球防衛戦争における被害者数の推計>

3 地球防衛戦争下のコロナ・パンデミック

 A  国連にとってのコロナ・パンデミック

<人類の危機に際しての責任と連帯の呼びかけ><コロナ・パンデミックとの闘いからSDGs達成の闘いへ><コロナ・パンデミックの副産物としての環境浄化の皮肉><SDGs達成のための投資行動の転換>

 B  コロナ・パンデミック対策から地球防衛への機運

<コロナ・パンデミック対策からのベーシック・インカム政策の形成><UNDPと世界銀行のベーシック・インカムへの転回>

4 SDGsをめぐる対立の構図――地球防衛か、宇宙開発か?

 A SDGs市場を目指す多国籍企業――SDGsコンサルタント狂詩曲

 B 宇宙開発というオプション

<宇宙企業集団の形成?><宇宙ビジネス展開の論理>

 C 国連のエコ・ヒューマニズムと地球防衛戦争の課題

<地球防衛戦争の敵=侵略者の姿><SDGsはエコ・ヒューマニストのトロイの木馬になれるか?>

文献目録

初出一覧

あとがき

索引

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