グローバル・ベーシック・インカム研究会(Study Group on Global Basic Income Guarantee)

グローバル・ベーシック・インカム研究会は、法政大学大原社会問題研究所の共同研究プロジェクトの研究会として始まりました。その後、岡野内研究室主催の研究会となりましたが、2017年以降は開店休業になってしまいました。2021年5月からは、大原社会問題研究所の共同研究プロジェクトとして、「SDGs推進体制下の人類社会におけるベーシックインカム運動研究会」が発足し、2023年5月から3年目に入ります。ZOOMを用いて、公開のオンライン研究会も開催していきますので、ご期待ください。以下、過去のお知らせですが、消さずに載せておきます


公開研究会への参加は、一般市民、学生、院生、教職員、地域住民の方、どなたでも歓迎です。参加費無料で、お申込みの必要はありません。
(研究会代表・お問い合わせ先:法政大学社会学部岡野内正研究室TEL:042-783-2371, otadashiあっとhosei.ac.jp)

2016年度≪第1回≫
今回の研究会はNPO法人アジア・アフリカ研究所と共催になります。
日時: 2016年7月16日(土)15:00~18:00
場所: 法政大学市ヶ谷キャンパス外濠 校舎S502(1階にセブンイ レブンの入っている外堀に面した建物の5階です)
報告者: Sarath Davala氏(社会人類学者・インド女性自営労働者組合SEWAの調査担当)
内容:
「ベーシック・インカムが人間を解放する力―インドの経験から」
ユニセフが資金を出し、女性の零細自営業者の労働組合SEWAが実施主体となって、インドの6つの村落で1年半にわたって行われたベーシック・インカム(個人向け、月極め、無条件、最低生活保障水準の現金移転)実験。世界的に注目された社会実験の質的調査責任者が、ソウルで開催されるベーシック・インカム研究国際学会の帰途に来日し、無条件で経済的自立に必要な現金収入を保障することが、村人を人間的に開放する力をもつことが明らかになったという実験結果について報告します。通訳つきで、質疑応答の時間もあります。

* 今年7月にソウルで開催される国際学会へ参加ご希望の方へ*
7月7~9日の3日間にわたって、ソウル市内の大学で開催されます。公開の学会ですので、だれでも参加可能です。言語は英語になりますが、世界のベーシック・インカム研究の最前線を知ることができます。Basic Income Earth Networkのサイトから、詳細がわかります。また同時に開催される韓国ベーシック・インカム週間のイベントは韓国のベーシック・インカム実現運動の息吹を知るよい機会となると思います。ゼミの学生若干名も参加しますので、同行をご希望の方は、岡野内までご連絡ください。

2015年度の活動報告
2015年度≪第1回≫
日時: 2016年3月13日(日)14:30~17:30>
場所: 法政大学市ヶ谷キャンパス・ボワソナードタワーBT0705教室
内容:
「『グローバル・ベーシック・インカム入門』(クラウディア・ハーマン、岡野内正他著訳、明石書店、2016年)を読んで考えたこと」
報告者:南野泰義(立命館大学国際関係学部教授)
ナミビアのべーシック・インカム実験報告書の訳、ナミビア、ブラジル、インドの実験プロジェクトの現地訪問記、部分的なベーシック・インカムが実施されているアラスカとイランへの訪問記をあわせて収録した新著について、北アイルランド問題を軸に民族問題について政治学的にアプローチしてきた立場から、考えたことを報告。

「スイスのベーシック・インカム国民投票運動の現在―運動のリーダーへのインタビューから考える―」
報告者:佐々木重人ベーシック・インカム研究者2015年11月にスイスを訪れて、おそらく2016年6月に実施されることになりそうだというベーシック・インカム導入の国民投票について、運動のリーダーにインタビューして結果と、そこから考えたことを報告。(インタビューの一部は、次のサイトからインターネット映像で見ることができます。)

「ベーシック・インカム社会実験のその後―ナミビアとインド」
報告者:小島 慧(法政大学大学院社会学研究科)2015年夏と年末にほぼ1か月ずつ、ナミビアとインドを訪問し、その後の実験地を訪れてきた大学院生の現地報告。 

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2014年度≪第4回≫
法政大学大原社会問題研究所共同研究プロジェクト グローバル・ベーシック・インカム研究会
日時:2015年3月28日(土)14:oo~17:30
場所:法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎S-301教室
内容:
「ベーシック・インカムと労働について―労働にまつわる無条件性批判に応答するために」
報告者:藤田理雄(法政大学大学院経済学研究科)
ベーシック・インカムが無条件であることから反対する論者の前提にある労働観は、現代の資本主義社会に特有なものであり、その労働観を転換させる可能性のためにも、無条件な所得保障が必要なことを論証。そして、無条件な所得保障を土台として、①「生きていくための労働」が公正に担われ、②「完成品を作り上げるための仕事」や「自由なコミュニケーション活動」が、賃金労働の論理から解放され、③それにより人びとがさまざまな活動にアイデンティティを求められる、という社会の構想を提示した。

「飢餓と貧困を放置する人類史の流れをどう変えるか?―ジェフリー・サックス、ヴォルフガング・ザックス、スーザン・ジョージの近著をめぐって―」
報告者:岡野内 正(法政大学社会学部)
世界の飢餓と貧困をなくす活動で知られる3人の近著をグローバル・ベーシック・インカムの視点で検討し、グローバルな階級構造分析、賃金労働依存からの脱却の展望、公共圏活性化の見通しという今後の課題を示した。(検討対象の近刊著=J・サックス『世界を救う処方箋:「共感の経済学」が未来を創る』早川書房、2012年、同『世界を動かす:ケネディが求めた平和への道』早川書房、2014年、W.ザックス他編『フェアな未来へ:誰もが予想しながら誰も自分に責任があるとは考えない問題に私たちはどう向きあっていくべきか』新評論、2013年、スーザン・ジョージ『これは誰の危機か、未来は誰のものか』岩波書店、2011年、同『金持ちが確実に世界を支配する方法:1%による1%のための勝利戦略』岩波書店、2014年。)

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2014年度≪第3回≫
法政大学大原社会問題研究所共同研究プロジェクト グローバル・ベーシック・インカム研究会
日時:11月22日(土)14:00~18:00
場所:法政大学市ヶ谷キャンパスBT507教室
内容:
ブラジルにおける現金給付制度の改革と「社会自由主義国家(Social Liberal State)」の全体像
報告者:山崎圭一(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授) ベーシック・インカム導入を謳いながら、なかなか実現につながらないブラジルの2004年の法律の解説を踏まえ、子どもの就学や健康管理などを条件に貧困家庭にのみ現金を給付する現行の「ボルサ・ファミリア」を解説。現地の経済学者(Dr. Mauricio Bugarin、ブラジリア大学教授)による改良提案も紹介した。そのうえで、ブラジル全体の動きをどうみるかについて、ブレッセル・ペレイラ教授の「社会自由主義国家」論(小池洋一『社会自由主義国家:ブラジルの「第三の道」』新評論、2014年、参照)を軸に、最近の住民デモや労働組合のストライキの全国的多発状況の現実と対比して論じた。ペレイラ教授は、現在のブラジルは、かつてのイギリスのブレア政権の「第三の道」とは異なり、市場と国家を社会に埋め込み、連帯経済を重視する非・新自由主義的な「ブラジル型第三の道」を追求していると、論じている。教授自身、1990年代のカルドーゾ政権で連邦行政・国家改革大臣として、その路線を打ち出した一人である。「社会自由主義国家」の限界は何かという点も含めて考察した。

ブラジルにおける民間団体による農村でのベーシック・インカム実施プロジェクトの現在
報告者:佐野圭佑(法政大学社会学部学生) ベーシック・インカム法の実現の遅れに抗議してきたブラジルの民間団体が、募金を集めて、2008年以来、サンパウロ郊外の農村で100人ほどの受給希望者を対象に毎月現金を手渡してきたプロジェクトは、すでに6年目に入る。この種のベーシック・インカム社会実験プロジェクトとしては世界最長となっている。その現場をこの夏休みに訪問してきた学生が、学生の目で見たプロジェクトの現状について簡単に報告。

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2014年度≪第2回≫
法政大学大原社会問題研究所共同研究プロジェクト グローバル・ベーシック・インカム研究会
今年6月27~29日にカナダのモントリオールで行われた2年に一度のベーシック・インカム研究国際学会での日本側報告のうち、前回研究会で報告できなかった2名が、日本語で報告。あわせて世界の動向も・・・

日時:7月19日(土)13:30~16:30
場所:法政大学市ヶ谷キャンパスS301教室
内容: 
『新しい公共』とベーシックインカム論の今後
報告者:平野寛弥(目白大学) 民主党政権で重視された『新しい公共』政策は政権交代以降,政治の表舞台から姿を消した。また,当時高まりを見せていたベーシックインカムへの関心も今では一段落した感がある。本報告では,政権交代の影響も踏まえつつ,『新しい公共』とベーシックインカム論の今後を考える。

先住民族の権利とベーシック・インカムのアラスカ・モデル
報告者:岡野内 正(法政大学) 北極海油田からの収入を積み立てて投資した収益から、70万人の州民ひとりひとりに無条件で毎年10万円ばかりを配り続けて30年あまり。アメリカ合衆国のアラスカ州政府のアラスカ恒久基金配当は、近年、ベーシック・インカム導入のためのモデルとして注目を集めている。だが、先住民の土地を取り上げて自然を破壊する油田開発をしたお金の一部をもらう先住民はそれをどう考えるのか。昨年夏の現地調査をもとに、これまでこの文脈では注目されてこなかったアラスカ原住民土地請求解決法による原住民株式会社配当(ほとんどすべての先住民族に会社によっては基金配当以上の額を分配している)の意義を考察し、あわせて、歴史的不正義からの正義回復のためのグローバル・ベーシック・インカム基金という解決方向を問題提起した。

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2014年度≪第1回≫
法政大学大原社会問題研究所共同研究プロジェクト グローバル・ベーシック・インカム研究会
今回は、今年6月27日にカナダのモントリオールで行われるベーシック・インカム研究国際学会での日本パネル(A3)の報告者が全員勢ぞろいし、日本語で報告。

日時:6月7日(土)17:30~20:00
場所:法政大学市ヶ谷キャンパスBT503教室
内容:
日本の生活保護改革の行方とベーシックインカムの可能性
報告者:堅田香緒里(法政大学) 2013年、日本の所得保障のラストセーフティネットである公生活保護制度は、成立以降初めて大きく「改正」された。本報告では第一に、「改正」内容の分析を通して日本の公的扶助の展望を、第二に、「改正」への有力な対抗軸としてのベーシックインカムの可能性を論じた。

コミュニティの活力への悲観主義―日本のベーシックインカム論争の一側面
報告者:岡野内 正(法政大学) 日本でのベーシックインカム導入に関して、近年増加してきた反対論の中では、市場原理によって社会政策を解体する新自由主義に反対し、国家の役割を強調する立場からのものが多い。そのような議論の根底には、都市生活を営む研究者たちのコミュニティの活力への根深い悲観主義があること、逆に、過疎の農村では、コミュニティ活性化の立場からベーシックインカム待望論が登場していることを指摘し、その意義を問題提起。


≪第5回≫
法政大学大原社会問題研究所共同研究プロジェクト・グローバル・ベーシック・インカム研究会、新潟大学共生経済研究所、アジア・アフリカ研究所 共催 法政大学社会問題研究所が共同研究プロジェクトの研究成果を公開する以下の公開研究会への参加(参加費無料)を広く呼び掛けております。今回は、新潟大学共生経済研究所、NPO法人アジア・アフリカ研究所との共催で、新潟で開催。

日時:2014年2月19日(水)14:00~17:00
場所:新潟大学人文社会科学系棟経済学部第一合同研究室
内容:
「米国の新しい労働組織とネットワーク」(仮題)
報告者:遠藤公嗣(明治大学) 大日本帝国の労働政策、GHQの戦後改革、戦後の労働問題に関する歴史的な研究を踏まえて、現代日本の賃金差別問題などに実践的に取り組む報告者が、アメリカの新動向について、大きなシステム転換の観点から報告。

「補助金改革、社会保護、ベーシック・インカム―貧困をめぐるグローバルな政策論争から見えるもの―」
報告者:岡野内正(法政大学) 世界銀行とともに補助金改革などの新自由主義的な構造調整を進めてきたIMFは、飢餓・貧困問題対策の点から社会保護のための所得保障の導入を訴えるILOなどの主張を取り入れたが、その過程でイランのようにベーシック・インカムにつながりかねない無条件現金移転を実現する事例も現れた。そのような動向の歴史的意義について問題提起した。

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≪第4回≫
日時: 2014年1月25日(土)17:15~20:00
場所:法政大学市ヶ谷キャンパス ボワソナード・タワー10F 1001教室
内容:
「オーストリア学派経済学の自由市場論からのベーシック・インカム論」
報告者:藤田理雄(法政大学大学院経済学研究科) 2012年あたりから英語で続々と刊行されているベーシック・インカム研究叢書のうち、アメリカの経済学者の中のオーストリア学派によるベーシック・インカム論(Guinevere Liberty Nell(Ed.), Basic Income and the Free Market: Austrian Economics and the Potential for Efficient Redistribution, London,etc.:PALGRAVE,2013)を紹介し、日本の議論との関連で問題提起した。

「ナミビアにおける土地問題
報告者:雨宮身佳(法政大学大学院社会学研究科) 世界初のベーシック・インカム社会実験であるナミビア実験の原因となったナミビアのアフリカ系先住民の貧困問題の核心である、ドイツとイギリスの植民地支配、南アフリカ支配のもとでのアパルトヘイト政策に起因する土地問題について、ナミビア留学の成果を踏まえて報告。

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≪第3回≫
日時: 2014年1月11日(土)15:00~18:00
場所:法政大学市ヶ谷キャンパス ボワソナード・タワー5F 0502教室
内容:
「戦後アメリカの社会保障と普遍的所得保障」
報告者:本田 浩邦(獨協大学教授)
アメリカの社会保障の専門家として、最近、1960年代のアメリカでのベーシック・インカム実現運動とその挫折が今日のアメリカの貧困問題の深刻化につながっているとして、『アメリカ史研究』などに実証的な論文を発表されている研究成果を踏まえながら、アメリカの社会保障の問題点と解決方向としての普遍的所得保障の議論について報告。

「ナミビアにおけるベーシック・インカム実現運動の現状」
報告者:雨宮身佳(法政大学大学院)
2013年5月からほぼ半年にわたるナミビア留学を踏まえて、パイロット・プロジェクトはほぼ停止してしまっているものの、災害救援としてBIが導入されつつあるナミビア現地の運動の現状について報告。

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≪第2回≫
日時: 11月26日(火)11:10~12:40
場所:法政大学多摩キャンパス 社会学部棟 620教室
内容:
「アメリカ合衆国における先住民問題の文脈からみたアラスカ問題の課題」
報告者:長島 怜央(法政大学非常勤講師) アメリカ先住民研究の立場から、アラスカ先住民の問題について、2013年9月に行われた現地調査を踏まえて報告。

「ベーシック・インカム論の視点から注目されるアラスカ恒久基金(Alaska Permanent Fund)と先住民問題」
報告者:岡野内正(法政大学社会学部教授) ベーシック・インカム研究者の間で、近年注目を集めているアラスカ恒久基金配当について、それが州民全員への無条件現金移転となっている側面とともに、先住民の土地所有権侵害の側面を持つことについて、現地調査を踏まえて問題提起した。

「恒久基金配当のあるアラスカを訪ねて」
報告者:法政大学社会学部岡野内ゼミ・アラスカ調査グループ ゼミ学生がアラスカ現地調査について報告。

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≪第1回≫
日時:7月13日(土)14:00~18:00
場所:法政大学市ヶ谷キャンパスBT 0504教室
内容:
「開発政策における現金移転(Cash Transfer)革命とベーシック・インカム」
報告者:岡野内正(法政大学社会学部教授) J・ハンロンらの現金移転=南からの開発革命論を紹介しつつ、報告者らが今年2月に現地調査を行ったインドのインフォーマル・セクター女性の労働組合SEWAがUNICEFの資金で行ったベーシック・インカム支給実験の歴史的意義について問題提起した。

「インドのベーシック・インカム実験村とSEWAを訪ねて」
報告者:法政大学社会学部岡野内ゼミ・インド調査グループ ゼミ学生がインド現地調査について報告。

「ポッゲ著『なぜ遠くの貧しい人への義務があるのか』を超えて」
報告者:鈴木 樹(法政大学:GBI研究会) 哲学的正義論の立場からグローバルな生活保障を提案した本について、突っ込んだ書評を行った。


「グローバル・ベーシック・インカムの思想と運動」研究プロジェクト(代表者:岡野内 正、会員9名)
【研究会の目的・課題】 全世界の個人を対象として、基本的な生活のために必要な所得を無条件に保証するというのが、グローバル・ベーシック・インカムの思想である。それは20世紀末にカナダの政治経済学者によって初めて体系的に提唱され、21世紀になってオランダに運動団体が現れた。それは、国際社会が抱える飢餓や貧困問題のみならず、階級、民族、ジェンダー、エコロジー、公共圏などの社会問題解決の可能性をもつ画期的な思想であるが、世界的にみても、その研究はほとんどない。本研究会は、その思想と運動の全体像をつかむことを目指す。第2年度は、以下の研究会を開催し、次年度以降の研究成果の刊行の準備を行った。

第1回(2012年4月24日) 鈴木樹(法政大学)「ベーシック・インカム実現運動の現状と課題」 岡野内正(法政大学)「平和学の課題と地球人手当(グローバル・ベーシック・インカム)の理論」
第2回(2012年5月15日) 岡野内 正「奴隷は環境問題を解決できるか―グローバル・ベーシック・インカムの理論と環境問題―」
第3回(2012年6月5日) 鈴木樹(法政大学)「ベーシック・インカム実現運動論」 岡野内正(法政大学)「奴隷に平和がつくれるかー地球人手当(グローバル・ベーシック・インカム)の理論と平 和学の課題―」
第4回(2012年6月26日) 長島怜央(法政大学非常勤講師)「レイシズムと歴史的不正義」 雨宮身佳(法政大学大学院)「開発社会学とベーシック・インカム」
第5回(2012年7月8日) 牧野久美子(アジア経済研究所)「南アフリカにおけるベーシック・インカム運動の現状」 渡辺文隆「アラスカ における石油収入を原資とする州民向け無条件現金給付」
第6回(2012年7月28日) 岡野内 正(法政大学)「地球人手当(グローバル・ベーシック・インカム)実現の道筋について」 鈴木 樹(法政大学)「ベーシック・インカムのナミビア社会実験報告書」
第7回(2012年10月13日) 岡野内 正(法政大学)ほか「2012年9月のBIEN(ベーシック・インカム研究の国際学会)ミュンヘン大会につ いて」
第8回(2012年11月24日) 岡野内 正(法政大学)「ベーシック・インカムと階級・所有関係」
第9回(2012年12月15日) 雨宮身佳(法政大学大学院)「ナミビアのベーシック・インカム運動の現状」 鈴木樹「ミュンヘンのBIEN大会について」


「グローバル・ベーシック・インカムの思想と運動」研究プロジェクト(代表者:岡野内 正、会員8名)
【研究会の目的・課題】 全世界の個人を対象として、基本的な生活のために必要な所得を無条件に保証するというのが、グローバル・ベーシック・インカムの思想である。それは20世紀末にカナダの政治経済学者によって初めて体系的に提唱され、21世紀になってオランダに運動団体が現れた。それは、国際社会が抱える飢餓や貧困問題のみならず、階級、民族、ジェンダー、エコロジー、公共圏などの社会問題解決の可能性をもつ画期的な思想であるが、世界的にみても、その研究はほとんどない。本研究会は、その思想と運動の全体像をつかむことを目指す。初年度は、以下の研究会を開催し、次年度以降の研究成果の刊行の準備を行った。

第1回(2011年6月8日) 岡野内 正(法政大学)「グローバル・ベーシック・インカム研究の課題と方法」
第2回(2011年7月6日) 岡野内 正「アントニオ・ネグリのベーシック・インカム論」
第3回(2011年10月5日) 岡野内 正「Basic Income Earth Network(BIEN)の動向」
第4回(2011年11月16日) 鈴木 樹(法政大学)「『帝国』における社会賃金」
第5回(2011年11月30日) 青木優和・土方陸登・宮坂綾(法政大学)「ブラジルにおけるベーシック・インカム社会実験現地調査報告」
第6回(2011年12月7日) 雨宮美香(法政大学)「ミレニアム開発目標批判からベーシック・インカムへ」 岡野内正「2011年ILO報告におけるベーシック・インカム論」
第7回(2011年12月14日) 岡野内 正「新自由主義とベーシック・インカム―POSSE誌特集号などのベーシック・インカム批判によせて」
第8回(2011年12月21日) 板橋亮平(大原研究員)「ロールズの法哲学理論における政治」
第9回(2012年1月11日) 篠原佑美(大原研究員)「ヒュームにおける所有論―ベーシック・インカムとの関連―」
第10回(2012年1月25日) 鈴木 樹「マルチチュード論と日本におけるベーシック・インカム要求運動の展望」